番外2:ATMに気を付けろ!
数年前、私は打合せへ向かう途中、近くにあったBaroda Bankに立ち寄り、HDFC Bankのキャッシュカードで10,000ルピー(約16,500円)をATMで引き出そうとした。ATMにカードを入れ、パスワードと引き出し金額を入力した瞬間、”Best”なタイミングで突然の停電になった。
停電していた時間は数秒であったが、その数秒間ATMも一時的にシャットダウンされてしまった。停電が復旧し、ATMが動き出したが、現金10,000ルピーは出てこなかった。しかし私の携帯に「10,000ルピー引き出されました」とSMSが届いた。そのため窓口に行って銀行員に事情を説明したところ、「HDFC Bankに行って説明してください」と言われた。そりゃそうだ…私はHDFC Bankの口座から10,000ルピーが引かれたのだから。Baroda Bankは手の打ちようがないだろう。
私は打合せまであまり時間がなかったためHDFC Bankに行くことができず、その代わりインターネットからカスタマーサービスへメールし、後日HDFC Bankに行こうと思っていた。
次の日、HDFC Bankから「調査し、数日後には10,000ルピー返金されます」と返信メールが届いた。そのためHDFC Bankに出向かず、数日待った。しかし待てど暮らせど10,000ルピーは返金されない。痺れを切らし、もう一度HDFC Bankに状況を確認するためにメールしたが、今度は返信がなかった。
もう我慢できずHDFC Bankに足を運んだ。どの人が担当者か分からなかったため、その辺にいた銀行員に事情を説明し、話を聞いてくれる人は誰なのかを尋ねた。すると「あそこのカウンターに行って相談してください」と言われ、そのカウンターに行って相談すると「その件はあの人が担当しているはずなので、あの人に聞いてください」と言われた。そして“あの人”に聞くと「ちょっと待ってくれ」と言われ・・・1時間待った。1時間後、“あの人”が言ったのは「調査に時間がかかるから、来週来てください」と。
結局、私は10,000ルピーを諦め、二度とHDFC Bankに行くことはしなかった。結論は見えていたからだ。いくら時間をかけても10,000ルピーは戻ってこない。これ以上無駄に時間を費やしたくなかった。
インドの銀行はこんな感じだ。お客へのサービス・対応が酷すぎる。私の友人はATMで10,000ルピー引き出そうとしたが、出てきたのは9,000ルピーだけだった。当然銀行明細は10,000ルピー引き出されたことになっていた。またATMから偽札が出てくることもあるらしい。まさか銀行のATMから偽札が出てくるなんて青天の霹靂だ。銀行が偽札をお客さんに掴ませるなんて考えられない。まるで国全体で「ババ抜き」をしている感じである。ババなのか、Jokerなのか、それともガンジーなのか(ってか紙幣は全部ガンジー)…。
銀行すら信用できない国、これがインドだ。いつでも、どこでも、誰でも隙あれば財産を狙ってくる。全く油断できない。「こんな事、ありえないだろう」と笑うかもしれないが、紹介する手口は実際に行われたものばかりだ。日本人の常識が通用せず、非常に刺激的な国。それがインドであることを覚えてくことが重要であろう。
明後日は石破首相とモディ首相が東京で会談するようだ。10年で対インド民間投資10兆円?
「石破さん…我々の貴重な財産を盗まれないようにね」