3-4. Input Tax Creditの例外的な処理 その2
1. Input Tax Creditが認められないもの
GST Act Sec.17(5)にInput Tax Creditが認められないものが列挙されている。特に企業に関わるモノとしてRent-a-cab(S 17(5)(b)(iii))、建物建築(S 17(5)(d))、プライベート目的での消費(S 17(5)(g))、Free Sample(S 17(5)(h))である。つまりRent-a-cabサービス及び建物建築に関するGSTはCredit使用ができず、GSTは費用となる。Free Sampleで出荷したものに関してはGSTのCreditを戻し、費用処理する必要がある。
さらにもしSupplierがGSTのコンプライアンスを守らなかった場合も、Creditの使用が否認される。例えば、御社がSupplierに支払ったGSTを、Supplierが納めなかった場合、御社のSupplierに支払った当該GST分はCredit使用ができなくなってしまう。またSupplierがGSTを納めたが、申告していなかった場合も同様である。つまりSupplierを選定する責任を御社は負わされている。
ではSupplierがちゃんとGSTのコンプライアンスを守っているかどうかどのように確認すれば良いのか?
この点に関しては次回「GSTコンプライアンスの仕組み」で説明したい。
今後Notification等でCredit使用が認められない物品又はサービスが随時発表される可能性があるため、注意しておく必要がある。
2. Creditの使用期限と認識期限
Creditの使用期限に関してGST Act上明記はない。そのためCredit使用期限はないと考えられる。ただしGST Act Sec. 16(4)ではCreditを認識できる期限を設けている。
Credit使用期限はないがCreditを認識できる期限はあるってどういうこと?
と思っている人もいるだろう。この点を少し説明していこう。
Creditはまず①認識して、それから②使用する。①認識とは、「請求書を入手し、記帳して、GSTの申告をすること」である。②使用とは「認識されたGSTを納税時に相殺することで充当する(仮払GST参照)こと」である。
例えば、Supplierが発行した請求書を記帳するのを忘れてCreditを認識できる期限を超えてしまった場合には、認識することは出来ず、当然Creditの使用もできないことになる。しかし期限内にCreditを認識した場合には、1年後、2年後、3年後でも使用することは可能である。
Creditの認識期限は「翌年11月30日」又は「Annual Returnの提出」のどちらか早い日である。GST Act Sec. 44でAnnual Returnの提出期限は12月31日であるが、仮にAnnual Returnを11月15日にした場合、11月15日が期限となることに注意する。よってAnnual Returnは11月30日以降にした方が良いのかもしれない。
3. 受取時に数量不足
例えば請求書では100個の製品が入荷されるはずであるが、95個しかなかった場合、Creditが認められなくなってしまう。そのため必ずInvoiceの数量が確かであるか確認する必要がある。
4. 在庫の紛失
保管していた在庫が紛失した場合、それに関わるGST Creditを戻す必要がある。
5. 税務調査時に証拠隠蔽として指摘
税務調査時、税金漏れを隠すために証拠を隠蔽した事が発覚した場合、その後GSTを納めても、当該納めたGST Creditの使用は認められない。この条項は非常に危険である。企業側が証拠の隠蔽をしていなくても税務調査官が「証拠を隠蔽した」と言ってくる可能性がある。適時適切に納税申告していれば問題はなかろうが、注意しておく必要がある。
6. 設備を購入したが、途中で除売却した場合
Input Tax Credit Rule Sec. 8(1)(c)に従って、一部Creditを戻す必要があるか検討しなければならない。計算方法は耐用月数60カ月で償却を行った結果の残額と販売時の回収したGSTの金額のどちらか高い方を戻す。
例えばX社は2017年10月に設備を購入しGST Creditとして100,000ルピーを認識した。しかし2018年4月に当該設備を売却し、GSTとして80,000ルピーを回収した。この場合2017年11月から2018年4月まで6カ月間経過していると考えられるため償却額は10,000ルピー(=100,000÷60カ月×6カ月)となりGST Credit残額は90,000ルピー(=100,000-10,000)となる。よって90,000ルピー>80,000ルピー(売却時に回収したGST額)であるため、戻すべきGST Creditは90,000ルピーとなる。
7. 提供者への支払い
GST Act Sec. 16(2)によると享受者は請求書日から180日以内に提供者への支払いを行わなければならない。もし180日を超えた場合、GST Creditを戻す必要がある。戻した場合、延滞利息が課される。
しかし180日を超えたとしても提供者へ支払いを行った時点で当該GST Creditを回復させることは可能である。