鈍感力 著者;渡辺淳一
何かおもしろいエッセイがないかと調べていたら、「鈍感力 著者;渡辺淳一」がお勧めされていた。
渡辺淳一の代表作はなんと言っても「失楽園」。ってか私にとって代表作っていうより「失楽園」しか知らない。1997年映画化。映画の主演は役所広司と黒木瞳。
1997年。私は20歳、大学生だった。青春真っただ中、何もしなくても頭の中はピンクの時期だ。そんな時期に「失楽園」の官能的なシーンを見せられると、頭の中が紅に染まり、まるでYOSHIKIのドラムのように心拍数が爆上がりしたものだった。そしてTOSHIのように心の中で叫びまくる。
「紅にーーー…!!!」
あの時ほど役所広司が羨ましく思ったことはない。ふと思い出してしまったのだが、役所広司と言ったら伊丹十三監督の「タンポポ」でもエロいシーンがあったはずだ。大体、あのエロいシーンは何だったんだ?あれ必要か?っと役所広司への羨ましさを通り越して、ついつい怒りを覚える。
まだ「失楽園」を見ていない方は見て欲しい。ただし家族で見ないことをお勧めする。一人でこっそりと。なんかセクシービデオをお勧めしている感じになってしまったが。
何しろ「失楽園」の官能シーンは凄い。黒木瞳の”先っぽ”が見えそうで、見えず、チラッと見えると
「おっおおぉぉぉ♡(広司に怒!!)」
と感情が搔き乱されるのだ。
ついついかなり主題から脱線してしまったが、こんな作品を書いた渡辺淳一が「鈍感力」を語る。
「鈍感力」を身につければ、仕事、健康、恋愛、結婚生活に関して上手くとのことだ。上司に怒られても「はいはい」と答えるだけで気にしない。食べ物が腐ってても気にせず食べれば食あたりにならないとか。同じように恋愛や結婚生活でも「鈍感力」は役に立つ。
私はこれまで「鈍感力」というものを意識してこなかったが、気づくと案外「鈍感力」というものが身についていると思った。おそらくアメリカ留学していた時、いろんな国の人たちと共同生活してきた経験で「鈍感力」が養われたのだろう。そしてインドのお陰で、今私の「鈍感力」はさらにパワーアップしているに違いない。
私はインドでインド人家族と生活し、日本ではマスオさん状態。私はこんな環境で何とか無事生息している。
なかなか時間を守らないインド人。私の質問に的確に答えず何とかはぐらかそうとするインド人。問題に対して必死に言い訳を訴えてくるインド人。こんなんがインドで毎日のように繰り広げられている。日本でも毎日のように、妻と義母が口論。ボソっと呟く義母の心無い小言。楽しみに取っておいた私のお菓子を食べる義母。
当然、瞬間的に腹が立つ時もあるが、もうあまり気にはならなくなった。今では面白ネタがひとつ増えたぐらいにしか思っていない。これがまさに「THE 鈍感力」なのだろう。
こんな「鈍感力」を強化してくれているインドに感謝する。もし皆様が「鈍感力」を身につけたいのであれば、インドで働くことをお勧めしよう。インドは鈍感力を身に付ける修行にはもってこいの場所である。
インドは決して黒木瞳がいるような「失楽園」ではないが、ある意味「失楽園」である。楽しいことがない場所という意味で。