3-3. Supplyが行われた州(物品)

 前回3-2. GST制度の概要では、同州内取引ならCGST + SGST、州外取引ならIGSTと簡単に説明した。もう少し法律の文言を使って詳しく説明しよう。Section 8によると同州内取引とは「サプライヤーの州」と「Supplyが行われた州」とが同じ取引と定義されている。また州外取引はSection 7によると「サプライヤーの州」と「Supplyが行われた州」とが異なる取引と定義されている。

 「サプライヤーの州」は、サプライヤーのGST登録州である。問題は「Supplyが行われた州」の判断である。この判断には物品の場合とサービスの場合とに分けて考える必要がある。

物品のSupplyが行われた州(Section 10)

(a) 物の移動を伴う供給

  • ルール:移動が終わって受領者に渡る場所が「Supplyが行われた州」
  • 例:マハラシュトラ州からカルナータカ州のバンガロールへ機械を配送
    →「Supplyが行われた州」はカルナータカ州。

(b) 第三者の指示で別の人に引渡す

  • ルール:指示した第三者が受け取ったとみなし、当該第三者の「主たる事業所所在地」が「Supplyが行われた州」
  • 例:デリーの会社Aが、グジャラートの仕入先Sに「ラージャスタンのBへ直送して」と指示。請求先はA、配送先はB。
    →「Supplyが行われた州」はA(第三者)の主たる事業所であるデリー。

(c) 物の移動を伴わない供給

  • ルール:引渡し時点で物がある場所が「Supplyが行われた州」
  • 例:商業ビルの売買
    →「Supplyが行われた州」はその商業ビルの所在地。

(d) 現場での組立・設置を伴う供給

  • ルール:設置・組立を行う現場が「Supplyが行われた州」
  • 例:チェンナイの工場に機械を持ち込み設置
    →「Supplyが行われた州」はチェンナイ(タミル・ナードゥ州)。

(e) 乗り物内(船・飛行機・列車・自動車など)での供給

  • ルール:その物を乗り物に“積み込んだ”場所が「Supplyが行われた州」
  • 例:デリーで積み込んだ飲料を、デリー→ムンバイ便の機内で販売
    →「Supplyが行われた州」はデリー。

結論

ビジネス取引上、必ず売手は買手に請求書(Tax Invoice)を発行することになる。基本的には請求書に記されている買手の住所が「Supplyが行われた州」となると考えていいだろう。しかし実務上は例外的なこともありうるので、注意する必要があることだけ覚えておいた方が良い。

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