GST Actとカシミール問題

 GSTは当初、カシミール州は対象外となっていた。しかし2017年8月23日にGST法の名前を「THE CENTRAL GOODS AND SERVICES TAX (EXTENSION TO JAMMU AND KASHMIR) ACT, 2017」にし、カシミール州もGSTの対象とした。そもそもカシミール州がインドであれば、当然カシミール州も当初からGSTの適用になって当たり前なのだが、いろいろ歴史的にややこしい事情があるらしい。今回はこのややこしい事情を少しだけ掘り下げてみようと思う。

 注;私は歴史学者ではないので、以下の内容が正しいかは保証しない。ただ読者には「カシミール問題にそんな歴史的背景があったんだね」ぐらいにとどめておいて欲しい。

 イギリス植民地時代、カシミール地方はカシミール藩王国として藩王に自治権を与え、イギリスは間接的に統治をしていた。藩王はヒンズー教徒であり、民のほとんどはイスラム教徒だった。そしてインドとパキスタンがイギリス植民地から分離独立した時にそれが問題となったのだ。パキスタンは民のほとんどがイスラム教徒だからパキスタンの領地だと主張したが、ヒンズー教徒の藩王はインド併合に同意をしてしまった。これがカシミール問題のスタートである。

 このカシミール州がインド併合に同意する時、インド政府に他の州とは異なる強い自治権をカシミール州に認めさせた。具体的には外交、防衛、交通、通信を除く権限をカシミール州に認めたのだ。しかし現在ではその権限が徐々に浸食され、カシミール州の特別な州自治権は名目化されてしまった。

  こんな経緯があり「THE CENTRAL GOODS AND SERVICES TAX (EXTENSION TO JAMMU AND KASHMIR) ACT, 2017」ということになっている。

参考;現代インドを知るための60章 2007年10月10日出版 広瀬崇子、近藤正規、井上恭子、南埜猛(編著)

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