3-3-1. 過剰な入荷数量及び過少な仕入数量

 私はインド零細企業を経営しており、日系企業X社へ材料を供給している。ある日、X社が100kgを発注してきたが大量の材料を抱えてしまったため、最低でも120kgをX社に売りつけたかった。そこで考えたのが、40kgを3回に分けて販売する手法である。一度に120kg販売してしまうと、明らかに発注量と異なるため直ぐに20kg余分に売りつけたことがバレてしまう。しかし複数回に分けて販売した場合、X社がちゃんと発注数量を管理していなければ合計で20kg余分に売りつけたことが簡単にはバレないであろう。

 また別の日、X社へ100kg出荷するべきところを間違えて90Kgしか出荷せず、請求は100kgしてしまった。この間違いに気づいたのは出荷して数日後であったが、X社からは何の連絡もなかった。

 そこで私は気づいた。X社は発注量も適切にチェックしていない、材料入荷時に数量も適切に検収していないと。であればX社へ発注書を超過する数量も販売できるし、発注された数量よりも少なく出荷し発注された数量で請求してもバレないであろう。

コンサルタントの見解

 この事例はX社の従業員が行った不正ではなく、仕入先が不正を行ったケースである。この手の不正はごく日常的に行われている。そして案外気づかないのだ。

 先日、日本食レストランでお客さんと2人で会食した。まずはビールを2本飲み干し、さらに2本追加で注文した。その追加注文した2本のビールがなかなか来ない。そのため呼び鈴をならし、ウェイトレスがやってきた。やってきたウェイトレスは2本追加の注文を受けたウェイトレスとは違っていたが、私は「追加した2本のビールがまだ来ていないんだけど…」と催促した。

 ウェイトレスは慌てて4本持ってきた。そして4本とも全て栓を開けようとしたのだ。ウェイトレスの栓を開けようとした時に私は慌ててストップをかけた。

私:「私は2本追加し、それが来ないから追加注文した2本がまだ来ていないよと確認したんだよ。つまりあなたが持ってくるべき本数は2本が正解だよ。」

ウェイトレス:「でもあなたはビール2本追加注文を2回した。だから4本持ってきた。」

 ウェイトレスは「お前が注文したんだろ?」的な勢いで返答してくるから腹が立つ。そもそも2人で会食しており、初回ビールを2本注文した。この状況で追加でいきなりビール4本注文し、しかも追加注文した2本のビールが届く前に、さらにもう2本追加注文をする客がどこにいるだろうか?「常識的に考えておかしいでしょ…。」これがあらゆる場面で起こっている。

 ウェイトレスに多少ムカッ腹が立ったが、2本だけ受け取り「ほんと頭悪いっすよね(笑)」と我々は談笑し、ビールを飲んで忘れることにした。2人で合計4本のビールを飲み(初回2本+追加2本)、最後に締めで鮭おにぎりを2人前注文することにした。ビールの追加注文の教訓を生かして私はこう注文した。

私:「鮭おにぎり2人前。分かっているよね?2人前だよ。」

と。そしてウェイトレスが持ってきたのが4人前のおにぎり。どうやら彼女は私が“2人前”を2回言ったから4人前持ってきたらしい。確かに私は2回、“2人前”の言葉を発した。しかし締めのおにぎりで誰が2人で4人前のおにぎりを食べるんだ?「常識的に考えておかしいでしょ?」ビールのやり取りから、たった2時間後にまた類似した議論がされる。

 2人で4人前も食べられないため、ビールと同じように2人前だけ受け取った。ため息をつきながらおにぎりをかじってみると具はなんと

「梅」

だった。より深いため息が抑えきれなかった。

 最後、お会計。もう察しているとは思うが、「ビール6本」と「おにぎり4人前」が“しっかり”と請求されていたのだ。

「発注数量」、「受取数量」及び「請求書の数量」これは必ずチェックするべきなのだ。私生活においても、ビジネスにおいても。

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